高校選手権 展望


いよいよ本日全国高校サッカー選手権が開幕。
高円宮杯も年々注目度は高まっていますが、やはり選手権がこの世代最大の祭典であることは間違いないでしょう。

長かった今シーズンもいよいよ終わりを迎えると思うと、楽しみでもあり寂しい気持ちもありますが、
直接見たチームを中心に、展望という雑文を残しておきます。

 

前年度覇者の星稜(石川)は、CB鈴木大誠(現筑波大)、ボランチ前川優太(現中央大)、平田健人(現大体大)、FW森山泰希(現日体大)とセンターラインに下級生から出場していた選手が揃っていた昨年のチームに比べると地力は落ちるか。
組み合わせには比較的恵まれたので、U-15・16代表に選ばれていたキャプテン阿部雅志(3年/MF/FC四日市)が知名度通りの活躍をできれば、3年連続となるベスト4進出の可能性は十分にある。
DSC00633
阿部雅志(星稜)

京都橘(京都)は、山本蓮(3年/MF/京都サンガF.CU-15)を中心とした魅惑的なパスサッカーで桐光学園、青森山田を撃破するなど、高校総体で大きなインパクトを残した久御山を下し本大会へ進出。
エース岩崎悠人(2年/FW/彦根中央中)が今シーズンは高校選抜に始まりU-17、U-18代表と飛躍し、心配なぐらいにフル稼働。彼をどれだけ活かせるかがカギとなりそうで、小屋松知哉(現名古屋グランパス)がいた際は仙頭啓矢(現東洋大)、中野克哉(現関西学院大)と優れたパートナーがいたものの今回はサポート役に1年生が多く未知数。
プレミアリーグWESTでも、例年尻上がりに調子を上げて残留を決めていたのに対し、今季は選手権予選後気が抜けたかのように意地を見せることもなく降格。
初戦の相手・尚志(福島)は、高校総体では市立船橋に2回戦で敗れたものの、プリンスリーグ東北ではクラブユース選手権ベスト4のベガルタ仙台を抑え優勝と地力はあるので初戦から厳しい戦いになりそう。

観戦記:プレミアウエスト16節 vs京都サンガ
DSC00369
岩崎悠人(京都橘)

ガンバやセレッソなどのJ下部組織の充実により選手のレベルが飛躍的に向上、一気に激戦区となった大阪は、牧野寛太(3年/MF/ガンバ大阪JY)や林大地(3年/FW/ガンバ大阪JY)などタレント性は高体連トップクラスだった履正社が優勝候補筆頭だったものの予想外の早期敗退。
初出場の阪南大高(大阪)は、決勝では質の高いサッカーを見せた興國に対し堅守を披露した反面、セットプレー以外でゴールの可能性が感じられなかったのが気になるところ。駒澤大高(東京)も守備重視からのロングボールスタイルと聞くし、開幕戦は渋いゲームになりそう。

観戦記:高校選手権大阪決勝 vs興國
DSC05527
岸元海(阪南大高)

新潟明訓(新潟)は、加藤潤(3年/MF/アルビレックス新潟U-15)や関口正大(2年/MF/FC五十嵐)など代表経験者が揃う注目チームだったけど、プリンスリーグ北信越2位、さらに大桃海斗(3年/DF/長岡JYFC)を擁し、同じく勝負の年と思われていた帝京長岡に一度も全国を踏ませない前評判通りの戦いぶり。
プレミアリーグ参入戦は決勝で惜しくも敗れたものの、あの時点で世代最強ともいっていいマリノスユース相手に善戦したとのことで、自力で言えばベスト10には入って来るぐらいはあるのかなと。しかし組み合わせが・・・

東福岡(福岡)は、プレシーズンのマリノスカップ以来観戦できておらず、当時は2年生が多いし中村健人(3年/MF/UKI-C.FC)の孤軍奮闘になりそうだなーという印象を持ったものの、ここまで伸びてくるとは思わなかった。
鳴り物入りで入学した藤川虎太朗(2年/MF/サガン鳥栖U-15)がその期待以上の活躍を見せると共に、完全にノーマークだった三宅海斗(3年/MF/倉敷市立北中)はかなりのインパクト。まだ生で見ていないので個人的には今大会最も見てみたい選手。
エースと目されながら高校総体までサブに甘んじていた餅山大輝(3年/FW/ルーヴェン福岡)もここに来て調子を上げているようで、地力では今大会ナンバーワン。あとは3回戦の市船戦にどういうコンディションで臨めるか。おそらく上述の新潟明訓とあたる2回戦が鍵になりそう。

観戦記:マリノスカップ vs横浜F・マリノス
DSC012081
中村健人(東福岡)

市立船橋(千葉)は、相手によって複数システムを使い分けるなど、チームの成熟度は一段上のレベルにある。総合力でも上述の東福岡と並び優勝に最も近いのではないかな(プレミアリーグEASTでは青森山田を下回ったものの、個人的な感覚としては上かなと)。
怪我で県予選は途中出場が主だったベガルタ内定の椎橋慧也(3年/MF/船橋市立八木が谷中)、モンテディオ内定の永藤歩(3年/FW/順蹴F.A/15U-18候補)がどこまでフィットしているかが鍵になりそうだけど、彼ら抜きでも優勝する力はある。
チームの中心は、今シーズン最も伸びた選手の一人である工藤友暉(3年/MF/FCクラッキス松戸)。
セットプレーやアタッキングサードでのアイデア溢れるプレーでチャンスを演出するだけでなく、最近はゴール、ゲームメイクとプレーの幅が広がっている。
ボランチ、最終ラインとカバー範囲が広く、戦術の肝になっている原輝綺(2年/MF/AZ’86東京青梅)も今シーズン飛躍的な成長を見せた選手。

観戦記:
プレミアイースト1節 vsコンサドーレ札幌
プレミアイースト6節 vs流経大柏
プレミアイースト8節 vs柏レイソル
高校総体3回戦 vs久御山
プレミアイースト11節 vs大宮アルディージャ
プレミアイースト15節 vs流経大柏
高校選手権千葉準決勝 vs中央学院
高校選手権千葉決勝 vs流経大柏
DSC05637
工藤友暉(市立船橋)

桐光学園(神奈川)は、前線の破壊力は大津と並んで今大会トップに据えていい。
注目度ナンバーワンの小川航基(3年/FW/大豆戸FC/ジュビロ磐田内定)は、意識しているらしい大迫勇也より個の打開力は劣るものの、ポジショニングやポストプレーの質など戦術理解度が非常に高く、ゲーム全体の貢献度は上。初代表からエースにまで上り詰めたU-18代表では驚異的な得点率を見せているので、周りのレベルが上がれば上がるほど更に活きる選手なのかもしれない。
イサカゼイン(3年/FW/町田JFC)は、突破力に加えてクロスの精度が非常に向上し、抜かずにクロスの選択肢を持っていることで更に脅威となっている。
神奈川県予選では、タレントでは並ぶと思われていた日大藤沢が準決勝で敗れてしまったため、直接対決を見ることができなかったのが個人的にはとても残念だった。その分と言ってはあれだけど、トップレベルに対する中盤の守備力が未知数で、3回戦で当たるだろう青森山田とのゲームは、そこでどこまでケアできるかが鍵となってくる。

観戦記:
高校総体神奈川県予選準決勝 vs市立東
プリンス関東9節 vs浦和レッズ
プリンス関東15節 vs三菱養和SC
DSC04301
イサカゼイン(桐光学園)

今季の青森山田(青森)は、タレントのバランスが非常によく、プレミアEAST2位の実績通り近年最強といっていい。
中でも途中加入した神谷優太(3年/東京ヴェルディユース/湘南ベルマーレ内定)の存在がやはり大きかった。
Jユースのトップタレントが、青森山田ひいては高体連に所属するということは、今後しばらくないんじゃないかな。
トーナメントに弱いと言われる青森山田だけど、初戦敗退した高校総体は相手の久御山が良すぎたし、
今季はベガルタ内定の常田克人(3年/大宮FC/15U-18候補)など190cmクラスの長身+原山海里(3年/DF/クマガヤSSC)のロングスローと一撃必殺の武器があるので、むしろトーナメントでこそ強みが発揮できるんじゃないかと。
今年勝てなきゃいつ勝つんだという感じです。

観戦記:
プレミアイースト1節 vs流経大柏
高校総体2回戦 vs久御山
プレミアイースト15節 vs大宮アルディージャ
プレミアイースト18節 vsFC東京
DSC03370
神谷優太(青森山田)

矢板中央(栃木)は、185cm近い星キョーワン(3年/DF/下野市立南河内第二中)と川上優樹(3年/DF/横浜ジュニオール)のCB始め最終ラインの対人能力は相当に高く鉄壁の守備を誇る。
攻撃でも、CB2人に森本ヒマン(3年/FW/下野市立南河内第二中)を加えた空中戦でゴールを奪えるも、逆にそこへ放り込む以外の選択肢が澤野祐輝(2年/FW/FCV可児)の突破以外に見当たらないのが不安なところ。
ベスト8は狙えそうだけど、それ以上は厳しいかな。

観戦記:
プリンス関東参入戦 vs関東第一
プリンス関東参入戦 vs横浜FC
DSC06831
森本ヒマン(矢板中央)

帝京第三(山梨)は、東京の有力街クラブ出身者が多く、タレントがバランスよく揃ったいわゆる「当たり年」。
松本山雅FC内定の前田大然(3年/FW/川上FC)を擁し実力のあった山梨学院に一度も全国を許さなかった地力は本物。
プリンス関東昇格も果たし、今大会の「ダークホース」に推したいチーム。
最前線の小山駿(3年/FW/AZ’86東京青梅)は、ポストプレーでは、今シーズン見た中では桐光学園・小川と並び高体連ナンバーワン(ちなみに世代ナンバーワンは、マリノスユースの渡辺力樹だと思ってる)。両足頭とシュート技術も高く、勝ち上がり次第では得点王も狙える。
中盤のフィルターとなる吉野巧人(3年/MF/帝京FC)、安定感を持たらせる木村祥太郎(3年/DF/東京ヴェルディJY)など守備力も高いが、山場となる3回戦で大津の両ウイング、もしくは前橋育英の横澤などのトップレベルのアタッカーをしっかりと抑えられればベスト4も見えてくる。

観戦記:
高校選手権山梨県決勝 vs山梨学院
プリンス関東参入戦 vs桐生第一
プリンス関東参入戦 vs武南
DSC06864
小山駿(帝京第三)

前橋育英(群馬)は、渡邉凌磨(現インゴルシュタット)を擁した昨年のチームより攻撃のタレントが落ちると思われていたものの、その分謙虚に手数をかけずシンプルにゴールを狙うスタイルを確立。
プリンスリーグ関東では、東京ヴェルディユース相手に5-0で圧勝するなど、ショートカウンターの殺傷力はかなり高い。
しかし、プレミアリーグ参入戦では、地力で劣るとも思えなかったアルビレックス新潟U-18に敗れ、3年連続の敗退(3年連続で出場することもすごいのだが・・・)。サッカーのスタイルではなく、もはやメンタリティーに課題があるのではと思わせる一面を覗かせており、初戦・優勝候補の大津と名勝負を演じて撃破した後あっさり敗れてしまうという結末もありそう。

観戦記:プリンス関東17節 vs東京ヴェルディ
DSC06017

横澤航平(前橋育英)

大津(熊本)は、縦への突破から自らゴールを奪える左の原岡翼(3年/MF/FCグローバル)、滑らかなシザーズで縦横突破できる右の杉山直宏(2年/MF/アビスパ福岡U-15)の両ウイング、さらに高いパスセンスを備えるトップ下吉武莉央(3年/MF/FCグローバル)からなる魅惑の攻撃陣で、プレミアリーグ参入戦でも2試合で8得点。ここに負傷明けの一美和成(3年/FW/エスペランサ熊本/15U-18代表/ガンバ大阪内定)が戻って来れば、その破壊力は今大会トップに達するのでは。
守備もボランチから最終ラインまで、押し込まれても慌てない対応力がある。ガンバ大阪内定のキャプテン野田裕喜(3年/DF/ブレイズ熊本/15U-18代表)の「キャノン」フィードも大きな武器で、優勝を十分に狙える戦力がある。

観戦記:プレミア参入戦 vs静岡学園

DSC06496
吉武莉央(大津)

 

順位予想は以下の通り。

ベスト8:星稜、明徳義塾、尚志、市立船橋、青森山田、矢板中央、神戸弘陵、大津。
ベスト4:星稜、市立船橋、青森山田、大津。
ファイナル:市立船橋、青森山田。
優勝:市立船橋。

組み合わせも考慮しましたが(東福岡と市船は予想がつかない・・)、高校サッカーのレベルの高さを実感できるような試合を魅せてくれるチームを選びました。
これまでのシーズンで、チームが目指してきた完成形を披露し、観客を唸らせるようなプレー、感動させるようなゲームを見せてくれればと。
選手権ならではの大観衆の中、負ければ終わりという状況でプレーすることは、選手にも心身の飛躍的な成長をもたらしてくれると思うので、この大会での経験を通じて、5年後の東京オリンピックで活躍してくれるような選手が一人でも多く出てくれれば。
個人的には、今シーズン楽しませてくれた選手たちと、いよいよお別れの時が来たんだなと寂しい気持ちでいっぱいですが、最後の姿をしっかりと目に焼き付けたいと思っていますし、選手たちが高校サッカーから後悔のない卒業を迎えてくれることを心から願っています。

それでは。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です